【プレスリリース】初診患者に対する選定療養費の徴収義務化前後での 紹介率の変化を検証
2025年12月8日
国立健康危機管理研究機構
筑波大学
研究成果のポイント
- 外来医療の機能分化を目的として、紹介状なしで受診した患者に対する選定療養費(注1)が導入され、2016年以降、大病院を中心に選定療養費の徴収が義務化されました。
- 茨城県の国民健康保険レセプトデータを用いて、選定療養費の徴収義務化の前後で紹介率が変化したかどうか、200床以上の一般病院を対照として分割時系列解析(注2)により検討しました。
- 400床以上の地域医療支援病院(注3)では、選定療養費が義務化されたタイミングで、紹介率が4~5%ポイント上昇していました。
- 特定機能病院や200~399床の地域医療支援病院では、紹介率に大きな変化はみられませんでした。
用語説明
(注1)選定療養費:
保険外併用療養のうち、将来的な保険導入を前提としないもので、患者の選択により特別の料金を支払うことで保険外の診療と保険診療を併用するものにかかる費用のこと。差額ベッド代や、歯科の金合金、時間外診療、大病院の初再診などが例として挙げられる。本研究では、一定規模以上の病院において紹介状を持たずに外来受診した患者等から徴収する選定療養費を研究対象とした。
(注2)分割時系列解析:
集団における介入効果を評価する際に用いられる手法で、準実験デザイン手法の一つ。時系列データを介入の前後で分け、各期間における回帰直線の切片と傾きを比較する。切片の変化から短期的な影響を、傾きの変化から長期的な影響を評価することができる。この研究では傾きには有意な変化はみられなかったが、400床以上の地域医療支援病院において、介入時点の前後で切片の変化がみられた。
(注3)地域医療支援病院:
患者に身近な地域で医療を提供することが望ましいという観点から、紹介患者への医療提供、医療機器等の共同利用の実施等を通じて、第一線の地域医療を担うかかりつけ医等を支援する病院として、都道府県知事が個別に承認する病院。
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