HTLV-1感染細胞クロナリティ解析技術「RAISING」によりくすぶり型ATL患者の予後予測精度がさらに向上

令和7年5月19日
国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所
聖マリアンナ医科大学


HTLV-1感染細胞クロナリティ解析技術「RAISING」により
くすぶり型ATL患者の予後予測精度がさらに向上

発表のポイント

  • 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)診断の指標の一つがヒト白血病ウイルスI型(HTLV-1)感染細胞の単一クローン増殖です。今回、くすぶり型ATL患者におけるクローン増殖度合い(Cv:クロナリティ値)を定量的に解析した結果、Cvの高い集団(Cv≥0.5)と低い集団(Cv<0.5)が混在するヘテロな集団であることを明らかにしました。
  • Cvが高いくすぶり型ATL患者は、予後不良なアグレッシブATLに進行するリスクが高いことが示されました。
  • 従来の予後予測因子である血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)量とクロナリティ値(Cv)を組み合わせることで、アグレッシブATL進行リスクの層別化精度が向上することを示しました。

概要

国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 検査診断技術研究部/ウイルス第二部の斎藤益満主任研究員(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター・病態解析部門、非常勤講師)、聖マリアンナ医科大学脳神経内科/難病治療研究センターの山野嘉久主任教授、佐藤知雄准教授、長崎大学病院検査部の長谷川寛雄准教授、JSPFAD(Joint Study on Predisposing Factors of ATL Development)らの研究グループは、独自に開発したHTLV-1感染細胞クロナリティ解析技術RAISING*1-CLOVA*2を用いて、無症候キャリア、HAM患者、ATL患者の計644例に対してクロナリティ値の測定を行いました。その結果、くすぶり型ATL患者のアグレッシブATL進行リスク評価および予後予測において、クロナリティ値が既存指標であるプロウイルス量(PVL)や血清sIL-2R量を凌駕する有用性を有することを明らかにしました。


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国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 検査診断技術研究部/ウイルス第二部
氏名:斎藤 益満

学校法人聖マリアンナ医科大学 脳神経内科/難病治療研究センター
氏名:山野 嘉久


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